37.3万/月

(財)生命保険文化センターが老後夫婦の生活費に付いて調査した結果、ゆとりある生活を営むために必要な生活費は37.3万/月だそうだ。
 現在60歳同士のご夫婦の場合、この夫婦のそれぞれの平均余命は、男性で21.98歳、女性は27.94歳(平成15年度・簡易生命表より)になる。
 今後定年が伸びたり、65歳まで働くのが常識にならない限り、60歳から夫婦で生活する期間は約22年、とすると必要生活費は22年×37.3万×12月=9.240万となる。
 妻(女性)は夫(男性)より6歳生きるからさらに、6年×26万(夫婦の場合の約70%)×12月=1.560万の生活費が必要になる。
 しかし、これは22年間健康に生きた上での話しで、健康の不安は加齢によりさらに強まり、そのコストもきっとバカにならないはず。
 こう見てくると、定年後1億の生活費をつくりだすことが出来るか不安になってしまう。

 この一億の原資は、宝くじでも当てて1億あれば別だが、ほとんどの方は、現役時代にこつこつためたタンス預金や退職金、公的年金でまかなわなければならないのだろう。
 公的年金は、ご承知のように、現役世代と年金受け取り世代のアンバランスや、現役世代の未加入、未納で不安がある、その上、平成17年度の税制改正公的年金の控除が縮減されるらしい(平成18年度の年金所得より課税されるが)。
 老後の心配は尽きないが、そんなわけで、個人年金や終身タイプの医療保険が人気らしい。
 これからは老後のことを考えて、生活レベルを下げることも考えなくてはならないかもしれない、生活レベルって何を規範にするのか、廻りに流されず、足下を見て考え直す時期に来ているのだろうか。
 これって暗い話しのようだが実は、こらまでのように、あふれる情報に一喜一憂したり、大量生産・消費の蕩尽の饗宴に身を置くのではなく、自分の消費の質を掴むために、身体感覚を研ぎ澄まし、自分の尺度を作り出す時代の到来かもしれない、自分の充実した時間を楽しむ消費という。
そういう意味で山崎正和著「柔らかい個人主義の誕生」中公文庫は興味深い。