2009-01-01から1年間の記事一覧

神内神社

”やまかつが、もちにせんと、木の実つき、ひたす小川を、又や、わたらん…… ” やまかつ:樵(きこり) 「紀州続風土記」の著者で紀州藩士の加納諸平が、風土記の選修のため熊野を訪れたときに、熊野人々の暮らしぶりを詠った詠草の一文だ。 ” 熊野山中の民は…

建築文化といのちの森「時ノ寿」を巡る旅 2

日本の林業は、戦後の拡大造林政策の名の下に、全国各地にスギ・ヒノキが密植された、しかしその後の人工林の多くは、手が入れられることもなく、劣悪な生育環境の森となってしまった。 時ノ寿の森もご多分に漏れず、ほんの数年前では、荒廃し、陽も差さなく…

建築文化といのちの森「時ノ寿」を巡る旅1

建築士事務所協会西部支部の主催の建築ツアーを行った、掛川市近郊を、建築文化といのちの森「時ノ寿」を巡る旅」と題して、掛川市竹の丸探訪、倉真地域の時ノ寿の森見学と散策、ねむのき村の美術館を巡った。 案内人に国登録有形文化財である、掛川市竹の丸…

建築基準法改正?

前原誠司国土交通相は、民主党がマニフェストで掲げた建築基準法の見直しについて、改正案を来年(1月召集)の通常国会に提出する方向で検討を進めている、内容は、建築確認日数の短縮、提出資料の簡素化、違反に対する罰則の強化が骨子のようだ。 思い起こ…

熊野:岩の聖地:花窟

花窟は、日本書紀にも記されている日本最古の神社といわれ、伊奘冉尊が軻偶突智の墓所として伝わっている、花窟では年2回「御綱掛け神事」と呼ばれる例大祭が行われるが、秋の例大祭は10月2日だ。 僕らが花窟を訪れたのは2日、この日は朝から雨模様で、海岸…

熊野:花窟と産田神社

熊野という言葉に、不思議な感情が湧き上がり、不思議な力に惹きつけられる、伊勢を含むこの一体は、日本の聖地と言っても過言でないかもしれない。 日本書紀に …伊奘冉尊、火神・軻偶突智(カグツチ)を生む時、灼かれて神退去りしましぬ、故、紀伊の国の熊野の…

基本計画

過日、” ファーストインプレッションは、クライアントのにとって望ましい解になることが多い”と紹介したが、写真の模型も当初提出した3案の中から選出された案の最終案。 昨夜クライアントに基本計画設計図、概算予算書、模型を提示し、基本設計説明を行った…

リフォームの行方

民主党のマニフェスト・住宅の政策に関してこう記述している。 44.環境に優しく、質の高い住宅の普及を促進する 【政策目的】 ○住宅政策を転換して、多様化する国民の価値観にあった住宅の普及を促進する。 具体策として ○リフォームを最重点に位置づけ、バ…

デッサン

近代建築の巨匠、ル・コルビジュエは言う。 「毎日、私の生活の一部をデッサンにあてた、形態の秘密に辿りつこうとして、デッサンすること、絵を描くことを決してやめなかった。」「私の仕事の探求の鍵は、そこにしかない」 住宅は性能と伴に、空間の質感やプ…

「現場対応力」

住まいに限らないが、使用期間が長くなると、あちこちに劣化現象が顕在化する、補修・補強・改修などにより再生が図られるが、すべての価値を失ったとき、住まいは解体除去される。 今年3件の耐震診断・補強計画を行う機会を得た、8月に起きた地震の影響で、…

ファーストインプレッション

クライアントとの初回の顔合わせという儀式的な行事をすませると、クライアントのすまいへの意向のインタビューを行う。 後日、インタビューを整理して、2つあるいは3つのプランを提案することが常だ。 インタビューは、与条件の確認と共に、与条件の提示で…

伊勢神宮

「何ごとのおはしますかは知るらねども かたじけなさの涙こぼるる」 と鎌倉時代の僧侶にして歌人の西行法師は伊勢の内宮の前で詠んだ。 これを宗教学者山折哲雄氏は …森羅万象の神の気配を感じ、思わず畏敬の念をもよおす「森の民」としての日本人の感性と自…

建築と森を巡る旅

ちょっと先の話題だが、11月1日に、”建築文化といのちの森「時ノ寿」を巡る旅”と題したツアーを行う。 建築士事務所の集まりである、建築士事務所協会西部支部では毎年、設計セミナーといイベントを行っている、これは設計事務所の社会的役割や業務内容を広…

刻字家というプロフェッショナル。

刻字とはwikapediaによれば ”木材などの素材を生かし、造型性のある字を刻すること。” ”篆刻(てんこく)から発達した書芸術の一つで、彫書、刻書とも呼ばれ、そのルーツは古い。” ]らしい。 篆刻は、秦の始皇帝が中国を統一する以前より存在した書体である…

貫と楔

日本の木造建築の架構は、竪穴式住居に見られるような掘っ建て柱式から始まり、3つの変革期を経て、現代の架構に洗練されてきた。 鎌倉時代の僧・俊乗坊重源が中国は宋の建築技術に学び、東大寺南大門に試みた通し貫による架構は、耐震要素としての壁を用い…

「地震 !」

11日の早朝、「ユラユラ……」と異様な揺れに飛び起きた。 東海地震か?と身構えたが、揺れはそのものは、短時間で収まった。 我が家はおかげさまで、家具の転倒や、物の落下、家屋の損傷は皆無。 室内を見渡し、家具等は、忘れるくらい前に、壁等に緊結済みで…

渚から来るもの

2年ほど前、建築生産の分野を研究対象とする村松秀一東京大学教授は、建築雑誌2007で「パッケージとしての「ハウス」の次に来るもの」と題したコメントを寄せた。 そこでは、住宅メーカーを、”住宅に生活提案を盛り込み、識別性の高いオリジナル部品を搭載し…

木造の接合部

木造の接合部は、一般的には仕口・継ぎ手と呼ばれている、建物に限らないと思うが、その架構を構成する線材や面材が、一箇所の接合部も無いシームレスな構造を有することができれば、例えば、常温で粘性と塑性をいったり来たりする性質を持った素材があるとす…

土蔵のはじまり

土蔵の始まりはいつ頃か? この疑問の答えを彷彿させる場面が描かれた絵巻がある、「春日権現験記絵巻」がそうだ。 「春日権現験記絵巻」は 藤原氏の氏神である春日明神に関する絵巻で、1309年(延慶2)3月に左大臣西園寺公衡(きんひら)が氏神である春日明神に…

照明が似合わない空間。

設計を進めていく上でいつも最後に悩むのが照明の選定、雑誌などを見ても、せっかくの空間が目障りな照明で台無しになった写真をしばし目にする。 現代の日本人は、夜を明るくしたい欲求が強いように思う、室内は必要以上に照らされて健康的、隅々まで明るく…

この日曜日、国土交通省による【長期優良住宅先導的モデル事業】に採択された【200年住宅】の見学を行った。 この住宅の性能は、耐震性能は通常の1.25倍の強さ、省エネルギー対応も高基準レベルを採用しているそうだ。”耐震性能は通常の1.25倍の強さ”とある…

大津磨き

大津磨き一枚の壁(約2畳)、1日掛けて完成。

クスノキ

”…S製材所に行った目的は、今度「時ノ寿の森」に木製モニュメントを作る計画があって、その看板にする板を探しに行った。素晴らしいものが、いっぱいあったが、なんとかなりそうな値段で、長さ2m以上・幅90cmもある立派なクスノキの板を見つけてきた…

土壁・撫でもの その2

4日に寝室の壁を仕上げた、土もの壁は、色土に砂とスサを混ぜて塗り上げるが、糊を使用するかしないかによって、3種類の分類が有ると言う。 「水捏ね」、「糊差し」、「糊捏ね」の3種類だ、西方の家では「糊差し」仕上げとした、本来は「水捏ね」仕上げが…

土壁・撫でもの

左官の仕上げは、無数あると言われている、地域により産出する土などの材料の違い、風土により地域特有の工法が生まれたことなどの理由によると考えられる。 しかし、左官読本:建築知識によると、現在の土壁の工法の主流は京都に伝わる技法が中心をなしてい…

時ノ寿の森と「花の香楽会」

時ノの寿の森は雨模様、山間の静かな森にチェーンソウの爆音が響く。 今日は、5月定例活動日、15名ほどが、3月に植樹した、24種類の苗木周辺の下草と竹の伐採、炭の材料にの切り出しに汗を流していた。 特に「C」のエリアには若竹(八高)がぐんぐんと生育し…

貴方までの6人

1998年の冬、「ネイチャー」誌に「”スモールワールド・ネットワーク”における集団力学」という論文が掲載された、「ネイチャー」誌にとっては、他の論文とはかなり性格をことととするものだったそうだ。 人々をコミュニテーに結びつけている複雑な人間関係の…

天井の表情

空間の質を決める要素のうち、空間を限定する床、壁、天井は重要な役割を担う、その中でも天井は直接構造的な制約が少なく、非常に自由度の高い表現が可能な部位だ。 天井のデザインするとき、いつも頭を悩ませるのが照明だ、その場合、照明の存在感を限りな…

”磨く”ことを楽しむ

”磨く”と言えば、「爪を磨くか靴を磨く 」が頭に浮かぶ。 女が”爪を磨く”時、華やかな彩りやシックを装いを爪先が演出する、細部に神は宿ると言うが、爪先まで磨かれた女は美しいという思い上がりが最高点に達する 。 同様に、男が”靴を磨く”とき、その精神…

美しい仕口と継ぎ手

ある工務店の加工場、6月に建て前だと聞く、加工場に整然と置かれている柱や梁は徳島のスギだという。 そもそも、仕口や継ぎ手は組んでしまえば見えない、住まいが完成して、鴨居や長押がどうやって留められているかなんて興味を持つ人はいない。 が、ここで…