passarella2007-02-21


今、まさに基本計画が進行中のKさんの住まいは、民家風の佇まいがデザインのべース、その佇まいを決定する大きな要素の一つは建具。
 今日は、建具を静岡市内にある古材ギャラリーで物色、ここはKさんの行きつけの店、すでに水屋ダンスを予約済み、年代はよくわからないが近江でつくられたものらしい、予約済みのタンスをしばし眺めながら、昔の家具は今の家具と違い、後ろか見ても絵になるなと、一人感心していると。
 ”清水さんと”Kさんの呼ぶ声、”これ予約しようと思うんだけど!”どうでしょうという眼差し、指の先には無双の板戸、これを玄関内戸に使いたいらしい、無双の板戸を実際に手にとって見るのは実は初めて、長い年月が板を黒光りさせ実に良い存在感を醸し出している。
 この板戸との対面は…”格子戸でなく無双の板戸か!でも、この無双板戸の効果は考える以上にあるかもしれない”、訪れた客は玄関のすこし薄暗い玄関ホールで、無双のすこし開けられた窓の先に見える明るく、開放的な土間に目を奪われ、その先の空間の佇まいに心を奪われずにはいられない……なんて情景が浮び、玄関の意匠をおろそかにできないなとの想いにも駆られた一瞬でもあった。

 通称千枚格子と呼ばれる筬格子戸はギャラリーに展示されていた、細い竪格子で組まれた格子戸は、軽い目隠しあるいは通風を兼ねた建具として人気が高い建具、繊細で意匠性に優れ民家では定番とも言える、これにもKさんかなり心を動かされた様子、間違いない一品だ。

 そして最後まで悩んだのは玄関ホールとは土間をはさんで対面にある戸、外部との界戸でもあるため、意匠性と防犯性を備えた戸でなければならない、朝は朝日で土間に陰影をつくり、日中は茶畑の緑を鮮明にし、夜は木の表情を際だたせる、そんな戸でなければならないから。

こんな玄関はどうだろう?
 美濃赤坂の矢橋家玄関/財満やえ子氏撮影

古材ギャラリー:(有)シテイアート   http://www.cityart.jp
美濃赤坂の矢橋家 木の建築no48より
       /発行:木の建築フォーラム http://www.forum.or.jp