荒壁

passarella2007-06-11


土壁の工程は、1)荒壁 2)裏返し 3)貫ふせ 4)チリ回し 5)むら直し 6)中塗り 
7)切り返し 8上塗り の順で施工される 。
大沢の家でも、1)荒壁 2)裏返しの作業を行つた、嬉しいことに西は浜松、東は静岡から助っ人が現れ、プロの左官職人を含め、総勢10名程度の人数でこの作業を行った。
土はすでに三方原から赤土が運び込まれた既製品の土だが、2週間程度寝かせただけでも、スサ混じりの土は結構発酵していて、色は褐色に変化し、ドブの匂いをぷんぷんさせていていい感じ。

荒壁の土には一般的にスサ呼ばれる藁切れを入れて水を加えて錬る、錬るも単に鍬でかき回す程度でなく、足で何回もこね回す、かき回す事が肝要ということだ。

 壁に塗る前に最後の合わせを行う、ここは、M氏自らが水合わせを行う、足を使うのはいつもの田圃での作業の延長であり、お手の物と言った表情、精力的に足で錬って、土の加減を調節、その合わせ具合は好評で職人から”塗りやすい!”と評価されるほど、職人をもうならせる足技か

 スサを混入させる目的は、土壁がばさばさする事を防ぎ、塗りつけの際のコテのびを容易にし、保水性を向上させ、乾燥する際の亀裂を防ぎ、亀裂を分散させるなどの役目を担うかなり重要な役目だ。

 また、藁には、納豆の主役である納豆菌が生息しているが(藁1本の中に約1000万個の納豆菌が胞子の状態で付着しているといわれている)、この藁に生息していた納豆菌が、赤土と混ぜられ、適当な温度で活発に活動し、土に含まれる有機物を発酵させる。

  そうして、あのドブの匂いをプンのプンさせた荒壁用の土がつくられる、この発酵した土が荒壁になぜ良いのかは、これ以上の知識を持ち合わせていないので分からないが、半年寝かせるといい荒壁土になると言うのは昔から知るところです。

  さて荒壁は、木舞壁の外から、土を木舞壁に押しつけるように強く塗る、すると木舞の格子から裏側にはみ出す、このはみ出し具合を見ながら、力のいれ具合を調節する。
 塗り終わったら、このはみ出した土をコテで軽く成らしておく。

 さて一日の作業が終わり、肩が重いと感じたのは、口には出さないが、きっと僕だけではないはず。

 
 

 太文字 左官テクニック読本P27:建築知識
 藁と納豆菌 コラム - 緑のgoo