三和土その1

passarella2008-01-10


 叩き土の略で赤土、石灰、苦塩の3種の材料を混ぜる合わせることから三和土と言われているが、これに水で練って叩き固めた土間のことだ。
 大沢の家でも土間が重要な位置を占めている、施主のMさんは最初から生活の中での土間への強い思いを語っていた、土間をそしてそれを構成する土を、あるいは土の感触を住まいの重要な要素と考えていた。
 子供の頃、かすかではあるが強烈に記憶に刻まれた、懐かしくも暖かい、土間への眼差しは今回ここ大沢の家で結実した。
 ”三和土は土で汚れる、一方で、非常に清浄感も漂う”と建築史家の中川武氏は日本の家:toto出版で語っている、日常生活で使い込まれ、凹凸と平滑度を獲得した三和土が、土庇より差し込んだ光により陰影をつくるとき、この清浄感と共に八百の神を強く感じたことをおぼろげに覚えている。江川家の土間
 この清浄感こそが、土間を懐かしく思い出させる要因かもしれない。

 大沢の家の土間は地元産出の赤土を使った、かつてこの周辺の農家で使われていた土だ、三和土の上等の土として愛知県の三河地方で産出する土を三州土と称していたそうだが、地理的には近隣だし、土質分布も同じかどうかわからないが、適度の粘性があり 荒砂を含んだ成分から案外三州土の流れをくむ土かもしれない。

 さてこの大沢の家の土間は、光が差し込み、光と影が土間でたわむれるとき、土間に清浄感と神の存在を感じるだろか、楽しみだ。

 身土不二、人は生きる土地土地の産物で暮らすのがいい、里山で算出する赤土の叩き固めるという協働の作業を体験しながら考えた。→詳しくは、http://outdoor.geocities.yahoo.co.jp/gl/tokinosunomori/view/20080105こちら時之寿の森で。

 昨年、建前が終わった静岡は赤目が谷の家でも土間が主題の住まいだ、今回の経験は継ぎにつながる良い経験となった、ここでは良い土間ができそうな予感がする、もちろん監督はMさんにお願いするつもりだ。


江川家の土間(韮山市):日本の家・toto出版 中川武著より転載