世帯を起こすから世帯を繋ぐ(1)


 僕が所属する生活設計サポートセンターの市民講座の第3回目のセミナーを、11月30日に掛川市大東市民センターで行った、1コマは僕の担当で”リフォームでつくる快適な住まい”というテーマで行った。 
 リフォームであっても、これからのこれからの住まいの姿を明らかにすることは、リフォームでの優先順位を決める重要な点となると思い、以下のような視点でセミナーの冒頭の話しとてさせていただいた。
 
 「戦後、敗戦直後の一時期を除いて、高度成長期から現在まで一貫して、住まいのあり方は、廃棄再生産と核家族化という歴史をたどってきた、この場合の”住まい”とは、ハードである住宅と住まい手の意識をさす。
 前者は、住宅さえ大型耐久消費物とされ、消費は美徳の風潮を生んだ、後者は戦前の家長父制度が崩壊する中、新たな家族に住宅を供給して核家族化を促した。
 両者とも、スクラップアンドビルドを前提に、25年〜30年のサイクルで新しく生産・再生産されてきた、新しいとは豊かさでもあった。」
 「まだ、機能を有しているのにもかかわらず葬りされれるのは悲しい出来事でもあったが、住宅の生産のプロセスは、住宅に愛着を覚えさせないほどシステム化され、分業化され、実際の作り手と住まい手の関係が希薄になってきたことも影響し、大型耐久消費物化への道は加速され、”壊し造り替える”ことに対する違和感は希薄となってきた。」
 …これらの流れを、住まい手の意識から”世帯を興す”というコピーを借用してお話しさせていただいた。

 さて”世帯を繋ぐ”とは?
  もう10年以上前から、建築の分野では、環境と人類の発展が伴にポシテイブな関係性を持ちうる概念でサステイナブルとい言葉が盛んに用いられた、例えばサステイナブル・デベロップメントとは”持続可能な開発”と理解される。
 ようは、”次の世代に負担をかけないよう心がけながら、今の時代を発展させる”ことだろう。
 産業界では、すでに限りある資源の浪費と、多量の廃棄物をまき散らすことは、許されない時代となっている、住まいも全く同じであることは異論の余地がないだろう。
  

 
 「持続発展が可能社会でのすまいのあり方、住まいの姿はと考えた時、長寿命な住まい、丈夫で長持ちする住まいが、これからの住まいの姿だと思う。
 このときの家族の姿は、世帯を興すのではなく、住宅をしっかり造り、適切に維持管理しつつ、世代を越えて住まい続ける、世帯を繋いでいく姿になるだろう。 」
と結んだ。

 ちなみに、このサステイナブルは、辞書によれば「sustain=支える・維持する」という意味だ。
 考えてみれば、日本の住まいは本来このサステイナブル性をもっていた、維持管理を行いつつ、サステインさせてきた、それも自然に。


 世帯を起こすから世帯を繋ぐ*1

*1:世帯を起こすから世帯を繋ぐ”は「長持ちする住宅の設計手法マニュアル:(財)日本住宅・木材技術センター刊」のP2・木造住宅を長持ちさせる” から