歴史的に培われてきた木の使い方に学ぶ・その1

passarella2009-01-07


 元日に山に神から、”歴史的に培われてきた木の使い方に学ぶ”と託宣を得た(勝手な思いこみ)。
 山の神に”伝統的構法に学び、丈夫で長持ちする住まいづくりに取り組む”と祈った処、昨夜”歴史的に培われてきた木の使い方に学べ”と託宣をえた。

 伝統的構法と言っても、百人百葉のか解釈があるので、ここで僕の理解する伝統的木造構法について纏めてみる。

  いわゆる伝統的木造構法とは

+自然資源(木・土・茅など)を使用した省エネルギー環境保全型構法。

  1. 再使用・再利用を前提としたエコロジー性の高い構法。
  2. 太い材を使用して、長く使うための持続性を内包する構法。
  3. ”総持ち”と呼ばれる、多数の仕口(接点)が力を分散するシステムを内包している。…増田一眞氏
  4. 水平材が柱を縫い合わせるように組み立てられた多段多スパンの立体ラーメン架構が全体の剛性を高め、外力に対して抵抗を高める働きをする。                      …鈴木有:秋田県立大学名誉教授「伝統的木造住宅の構造性能評価」より
  5. 他段階防衛型と言いい、構造体内に”剛構造”、”柔構造”、”免震構造”という三種の併存させ、地震動の強さに応じて、段階的に対処を変える構造を内包している。           …鈴木有:秋田県立大学名誉教授「伝統的木造住宅の構造性能評価」より
  6. 地震動に対する破壊メカニズムが脆性的でなく、高靱性であり、それがために生存空間の確保が可能と言う特徴を持つと理解している。

  表題が、”歴史的に培われてきた木の使い方に学ぶ”としたのは、上記の全てを反映させることが、いま現在、困難であり、または現実的でない事や、どれ一つでも欠けていると、伝統的木造構法ではないという指摘も受けることも考えられのではと言う、山の神の深い慈悲心が表記の題とさせたのだろう。

 託宣の、”歴史的に培われてきた木の使い方に学べ”とは、木を熟知し、木の特性を活かすことを考えよと言うことだ。


 ところで、現状の在来木軸工法の地震動への備えをみると、中地震に対しては損傷を起こさない弾性変形の範囲内で抑え、大地震に対しては、人命に危害を与えない範囲で、変形と部分的な破壊は許す、保有耐力の設計をする。
 それを可能にする耐力要素として筋違いや面材(合板等)の耐力壁がある、例えば、筋違いは三角形が組み込まれたトラスで、抵抗の種類としては、軸力系と呼ばれる。
 トラス架構は部材に圧縮力と引っ張り力を発生させ抵抗する合理的な構造だが、在来木造工法では、この壁は連続していない場合が多いので、不完全なトラス構造になり、よってフックの法則により、耐力壁に地震動による水平力が集中してしまう。
 力が集中すると、耐力壁は大きな回転モーメントが働き回転を始めようとする、この回転モーメントが柱脚を引き抜こうとする力として作用する。
 また一方、柱頭には、筋違いを通して、横架材(梁等)押し上げようとする力が働く、このため、柱は引き抜きに耐えられるように土台に、梁は突き上げられないように柱と、緊結しなければならない。
 また一方、不完全なトラスを補完しているのが雑壁(耐力壁ない壁)や外壁材などの面材張りの壁だ、例えば、ほぼ2階建てまでの住宅の簡易的な壁量計算での前提条件では、雑壁(耐力壁ない壁)や外壁材などの面材張りの壁は1/3負担することになっている。

 ここまでのことは、床面いわゆる水平構面でも同じだ、水平構面は力をスムーズに1階の耐力壁に流す役割と、重心と剛心の偏芯から生じる捻りに抵抗する役目を負う。
 在来木軸工法では2階の梁は上端揃えが全体となっている、梁の上端が揃っている方が施工性が良いことと、水平構面の剛性の確保に有利な点からだと思うが、しかし構造的には梁と桁、梁と梁の接合部が弱くなる、ここは一般的には大入り蟻掛けという仕口になるが、引っ張りに弱いので、金物の助けを必要とする。

 こうして、在来木軸工法は、地震動に対しては力で抑え込み、接合部は金物で補強する道を歩んできた。


 託宣の、”歴史的に培われてきた木の使い方に学べ”木を熟知し、木の特性を活かすことを考えよについては次回。
 写真は、来る18日に建前を行う予定のO邸の離れ、”歴史的に培われてきた木の使い方”に学んだ住まいの模型の建前。

 
 

歴史的に培われてきた木の使い方に学び、仕口への金物使用は一部に限定し、補助的にしか使用していない。