マクロな視点とリアルな現実

passarella2009-01-22


 年末年始に、派遣村が注目を浴びた、企業の調整弁としての非正規社員の実体は、前から報道されていたが、アメリカ発の金融危機以来の経済の落ち込みが、日本の経済のエンジンである自動車産業をも直撃した結果、これまで自己責任と突き放していた世論も、ひょっとすると個人の力ではどうすることも出来ないのではと思うに至り、人ごとではないと言う想いが、派遣村のいち早い行動を支持したのだろう。


 食事や住まいさえ失い途方にくれる彼ら、ボランテイアが救済の手を指し伸べている映像を、メデイアを通じて目にし、安堵した優しい人々がいる。そんな優しい人々にとっては、坂本政務官の発言”「まじめに働こうとしている人たちなのか」”は、人々の気持ちを逆なでする発言と写り、メデイアや野党の格好の標的となった。
政務官の発言は、人によっては無慈悲で、人を馬鹿にした話だと怒る人もいるだろう、しかし、田中康夫さんが言っていることも事実なのだろう。



 この雇用の問題は、池田信男氏(上武大学大学院教授)の言うように、需要の落ち込みが供給(雇用)をカットさせているのだから、対応策はマクロにみればGDPを上げることで、企業側に何が何でも雇用を守らせることではないのかもしれない。
 しかし現実に、解雇され住まいも無く、路上生活を余儀なくされている彼への対応は、緊急を要することも事実で、刹那的な対処療法だとしても、意図があるにせよ、手を差し伸べられれば感謝され、そちらに向くだろう。 

 現状を救いながら、中長期的には、ワークシェアや田中氏が言うように再雇用への公正な環境作りと違法解雇の監視、GDPを上げる新しい産業や企業家への援助と振興策の整備と非効率な産業界(サービス・土木建築など)の体質改善が進むべき道だ。


 さて、我が事務所はどうだろう、日本経済の悪化、消費の萎縮を前にして、大きな買い物となる住宅は減るだろう、そんなリアルな現実を前にして、事務所の贅肉を落とすことは当然として、きめ細かい営業活動が必要なのだろう、安藤忠雄さんも言っていた”仕事はつくり出すもの”。


ではマクロな視点はいかに! 
注目を浴びている200年住宅はどうだろう、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の成立を受け、住宅産業界も次の柱と位置づけているようだ。
 この法律の目指す未来は、高度経済成長期に広まった、つくっては壊すフロー消費型の考え方を一新し、定期的にリフォームをしながら、世代を超えて200年住める家を建てる。めざす社会は、低炭素・ストック型・長寿命で持続可能な社会としている。


 でも聞くところ、低炭素と言いながら、製造過程で、多量にco2をはき出す石油製品を使用しないと成立しない性能要求も求めていることなどみると、大手メーカーへの配慮と死に体の品格法の救済?という面もあるようだ。

200年住宅が満たすべきポイント
-・構造躯体の耐久性があること

  • ・耐震性が高いこと
  • ・内装・設備の維持管理が容易にできること
  • ・変化に対応できる空間が確保されていること
  • ・長期利用に対応すべき住宅ストックの性能があること
  • ・住環境へ配慮されていること
  • ・計画的な維持管理や保全の履歴を蓄積すること

低炭素・ストック型・長寿命で持続可能な住まいが受け入れられ、住まいが世代を越えて住み継がれていくためには、骨太の骨格と、維持管理の容易さ、そして何よりずっと住み継いでいきたいと思える「美しさ」が無ければならない


 そしてそれは、伝統的木造構法に、そのヒントが眠っていると思う、その伝統的木造構法に学んだ住まい”西方の家”の建前を先日行った。