塗壁・土壁

passarella2009-03-31


 スペインのアルタミラ洞窟の壁画は、今のところ塗り壁の最古の壁と言われている、この壁画に使われた絵の具は、代赭(弁柄)と黒が主で、土の粉らしい。

 エジプトのピラミッドは、今なお、漆喰の壁が保存されている、TVで吉村作治先生が案内役で紹介していた。
 特にテーベ(古代エジプトにあった古代都市の遺跡である。現在のルクソール近郊にある)の墓窟に描かれた狩りの絵は有名で、今日のテンペラ画の手法で描かれたと言われている。

日本の塗り壁は、仏教の伝来と時をおなじくし、7世紀初頭の法隆寺伝法堂は、堂の一隅に塗籠という囲われた部屋があり、それが土壁と推定されている。
 しかし、その後の寝殿造りや書院造りにおいて、壁は板壁が主流で、土壁はあまり定着しなかったようだ。


 安藤邦廣筑波大学教授によれば、日本の住宅史の流れからみて、土壁は突然出現したとみることができると言っている、室町時代後期の民家の成立と共に、あるいは土壁が民家の成立を促したと。

 同時に、暖房として、薪から炭への転換は、断熱性と機密性を向上させる土壁が必要だった、さらに日本では湿気のコントロールが居住性を左右するが、土壁はここでも調湿機能を持ち、民家には不可欠な素材となった。

 今日、土壁の住まいは姿を消しつつあるが、湿度の高い西日本では、まだ根強い支持がある、土壁は適度の通気性もあるので、結露も無く、健康的な住まいをつくると言って良い。