土は古くさい建築材料か?

passarella2009-05-07


住宅に使う材料として”土は古くさい !”と思っている人は、多いのではないか。

 近代の住宅の生産現場では、「均質に・効率よく・大量に・短時間に」がテーゼと言って過言ではない、そこでは人間の熟達した技術をあまり必要としない世界であり、自然の素材からつくられる材料は工業材料・製品に席を譲ってしまって久しい。

 無垢の木や左官材料である土、竹、紙などがそうだ、特に左官は「均質に・効率よく・大量に・短時間に」とは反対側にある材料で、今では”忘れられた建材”になってしまった。
   



 でもそうだろうか、左官材料である土は、これから迎えるであろう循環型社会を支える素材として、あるいは日本の気候風土に根ざした住まいをかたちづく素材として、リサイクル性と湿度の調整機能や断熱性、耐火性に優れた材料といえる。
 さらに、その施工上での優れた可塑性と展伸性は何より勝り、左官ポリバレントな技術を有する職人として、貴重な存在だと思う。

 左官材料を極めれば、確実に住まいの表現の幅や快適性は向上するはず、もう一度左官左官材料の代表選手である”土”を見直し、気持ちのいい、美しい壁をつくりたいと思う。
 
 シックハウスや資源の有限性などに関心が集まり、健康の面や環境の面で、伝統の技術や材料が着目され、天然素材として、住まい手に見直されつつあるのは嬉しいが、その担である左官と言えば、これまでの使い捨ての文化の中で、熟練した技術を有する職人が少なくなって来ているのが心配だが。

 (追)認識不足でした、夢を持ち力強く左官の道を歩む若手、身近で活躍してました。