ゴミを出さない家づくり

 現在、住宅で重宝されている建材の代表は、石膏ボードだろう、1970年代を1とすると、2005年では約4倍の生産量だと言われている、1970年当時の住宅着工件数は約140万戸、2005年時点の件数は約120万戸、住宅の着工は減少しているのに石膏ボードは約4倍の伸びた、住宅の着工件数が100万台というのも異常だが、石膏ボードの伸びも異常だ。

図1
図2

 図1は、産業廃棄物の業種別と建設業界の中での種類別排出量の割合を示したグラフ、建設業界は約19%で第三位の排出量を示している、図2は産業排出物量の時系列での推移を示している、平成に入り、資源の有限性やリサイクルの重要性が叫ばれことも影響してか、徐々に減少している、とは入っても、この減少がリサイクル率の上昇に負うところが大きいとすれば(リサイクルもいつかゴミとなる)少し問題も残る。
図3

 図3は種類別の排出量を示している、建設廃材のがれき類(例として、工作物の新築、改築又は、除去に伴って生じたコンクリート破片・レンガ破片)が第3位、木くずが1.4%の第7位、石膏ボードが入る、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずは、意外にも全体の1.3%で第9位だ。

 一般的に経験では、石膏ボードはほとんどが建設産廃として処分されている現状を知るだけに、統計的には意外な結果だと思う、ここでは冒頭の建材としての石膏ボードの伸びを示し、増え続けるだろう石膏ボードの問題点を指摘したかったのに、どうも腑に落ちない。

 しかし1970年当時の産業廃棄物の排出量は現在の半分程度だったと言うから、当時は、140万戸の住宅建てられていながら、ゴミを出ない造り方がまだ生き残っていたと言うことだろう。

 さて、大工の技術には、住宅の維持管理に手を加えながら持続させる技術や、知恵を前提としていたと言われる、古い建築の資材を再利用することは当然のことであり、そうした古い材料や建築を再生させる技術が大工技術の根底に脈々と流れていたのだと思う。

いずれにしても、ゴミをださに造り方が、今後問われる時代が来ることは確かだろう。


時ノ寿の森では、今回
   ”海と繋がる家づくり・木組の家”と命名したプロジェクトを立ち上げた。


そのコンセプトは
 1)資源循環型・ゴミを出さない家づくり
 2)耐久性と長寿命を可能にする丈夫な木組みの架構体の家づくり。
 3)大地に還る土、竹、無垢の木、炭などの自然素材の特性を活かした家づくり。
 4)住まい手(施主)、設計者、作り手(職人)、山の4者協働の家づくり。
 5)美しい森林の再生、里山の復興、伝統技術の継承につなげる家づくり。