Naturre…気候風土に根ざす。 

*[standard木組の家]”時ノ寿 standard 木組の家”7つの原則+One
 1)Naturre…気候風土に根ざす。  

 民家はアノニマスでバナキュラーな建築の代表とよく言われる、が、民家には、携わった彼らが美的感動を与えようと意図して造られたものでなく、住まいを支える、木や土という素材を活かす工夫が、失敗を重ねながら積み重ねられ、洗練されてきた。
 あるいは厳しい気候の洗礼を受け時間の経過に耐えるだけの質を持ち、土地土地の暮らしの知恵が詰まっている。
 その民家を支える素材の代表が木と土であるとしたい。


 朽ち果てた下見板から見えるひび割れた土壁や黒光りする三和土に生活の息吹を感じた経験は誰にもあるはず


 農家の土間にはいり、上を見上げると、黒々とした曲がりくねった松材が何重にも組まれた骨組みに深い感動を重ねることもあったのではないか。

 日本書記の巻1神代上のスサノウの尊の逸話にこうある。
「スサノウの尊は、イソタケルに国を治めるには船が必要だと言って、
”前略
 すなわち称あげてのたまわく、「杉及び樟、この両樹は以て浮宝(船)とすべし、檜は以て瑞宮(宮殿)つくるべき材とすべし。…略”」

 壁と土間の原点、それは土に他ならない、土はずっと我々の暮らしと寄り添ってきた。それからいろいろと学んだ、火に強いこと、湿気を調整してくれること、熱を蓄えてて、適度に放出してくれる(夏は蓄冷、冬は蓄熱)、複雑な形態に追随できること、文字通り土に還ることなどなど。

 さらに木と土の魅力はエイジングにある、時間軸に沿いその時々で、さびることのない古びた美しさを見せてくれる。
 時間と共に変化していく美しさは、決して年をとることを許さないピカピカツルツルの建材にはまねのできない魅力だ。

 ”時ノ寿 standard 木組の家”の原則、気候風土に根ざすは、軒を深くなどの形態と共に、木と土を活かす住まいでありたいと思う。