passarella2007-02-10

在来木造の地震などの水平力に対抗する部位は耐力壁と呼ばれ、建築基準法では筋交いや面材(構造用合板)で補強された壁 のことを言う。
 この耐力壁が地震時に予定どうりの抵抗力を発揮するためには、決められたサイズの材料が所定の位置に、計算された金具で、正しく施工されていることが、必要最低限の条件だが、現場では、けっこうこれを守ることは大変だ。
 この現場写真では、筋交いが決められたサイズの材料で、所定の位置に正しく計算された金具を使い設置されているが、正しく施工されていない。
 写真の右側の囲った部分(1)をよく見ると、筋交いを固定する金物の3箇所のビス穴にビスが打たれていない。
 3箇所だけ打ち忘れたのではないし、打つのがめんどくさかった訳でもない、…打てないのだ。
なぜかというと、柱の背割りと金物のビス穴が一致してビスを打てない、いや打っても止まらないから打てないと言うのが正解。
背割りとは、芯持ち材(木の樹芯を含んでいる材のこと)では、乾燥収縮の家庭でどうしても年輪の接戦方向に割れが生じる、小さな割れだけに押さえるためにあらかじめ、樹心まで達する鋸目を材の一面に通しで入れるが、これを言う。
 この現場では、筋交い金物がちょうど背割れの位置に合ってしまった、事前のチェックが足りず、結果として施工不良になってしまった。
 写真の左は、その対策として筋交いの外側に別の金物(2)をセットして事なきを得た状況を示している。
 この現場はプレカットで加工している、プレカットの施工図のチェック段階で発見できた、反省。