バルコニーとテラス

passarella2007-02-14


住まいに、バルコニーがほしいという要求は多く、一般的には2階の南側に設置する場合が多い、当初S邸も同じだった。
 でも、南側にバルコニーの壁が無骨に立ち上がるのはいやっだた…大体の場合、通風と視界の広がりを求め、バルコニーの壁には開口部を設けいているが、あまり良いデザインにお目にかかったことはない、室内側から見ると、バルコニーの床は防水そのままか、モルタルで仕上げてあり、心地よさを感じない場合が多い。
 S邸は増築、既存に新しい部分をどう繋げるかが、僕の中では大きなテーマだったが、最初から、既存部分と増築部分の間にボイドを挿入しようという意図があり、具体的にはコート、テラス、濡れ縁、吹き抜けをもった階段室等を考えていた。
 既存部分には家族が家族たらしめるくつろげる空間が見あたらなかった、ここは昔ながらの風習が色濃く残るからこそ、2階は家族だけのプライベートコートがほしかった。
 だから、最初バルコニーを条件で与えられた時、くつろぎの間と呼ぶ部屋の窓の外は、壁に囲まれたバルコニーではなく、風と光溢れるコート(テラス)でなくてはならないと感じていた。
 窓外の風景はくつろぎを感ずる上では、とても大切だ、だからこそくつろぎの間は、窓の外に広がる田園風景を横長に切り取ることにした、これは季節で変化する表情をパノラマで感じることができればいいな、という思いがあったからだ。
 くつろぎの間と既存の住居をコート(テラス)繋ぐ、コートは1階の中庭、濡れ縁と立体的に連続することで、風と光を獲得する事ができるはず。

 竣工後、コートは季節により第2の居間となり、あるいは内外や相互の住まいを視覚的の結びつける役割を果たしてほしいと願っいる。