日本の木組

passarella2007-03-30


日本の木組と言う本をご存じだろうか、淡交社(著者は清家清氏)から発行され、”日本の木造建築の機能の解明を意図して、その中心となる木組みの基本を、美しい図版と解説で表した日本の建築を理解するための指南書”とある本で紹介されていたが、僕もそんな風に思う。

 この本の中心となる部分は、木組みの機能の部分で、25種類の継ぎ手の図版とその解説、22種類の仕口の図版とその解説、モノクロの図版は木組みの様々なバリエーションを美しくやさしいく見せている。

 時ノ寿の駅は接合部のほとんどを、金物を使わない、継ぎ手・仕口としている、図面を書く上でも、何処の接合部にどんな継ぎ手・仕口を使用したらいいかを再確認する上で、本当に参考になった。
 材の端と端を接合する部分を継ぎ手と言い、材を互いに交差させる継ぎ手を仕口というが、一般的に最も広く使われる接合方法はホゾとホゾ穴によるもの、これは材同士のズレの防止と共に、接着面を広げて接合部の安定を高めようという意図があるのだと思う。
 しかし、互いに押し合う時、圧縮力が作用する時や捩れようとする時はいいが、互いに引っ張り合う特や曲げる力が作用する時にはほとんど役に立たない。
 
 そこで、接合部のホゾを2段にしたり、繊維方向に長く接触面を作る方法が考案され、栓やだぼ、雇いホゾなどを併用して、力の伝達力を高める工夫がなされた。

 力を伝達すると言えば、継ぎ手や仕口の地震などの外力が加わると、木材の内部摩擦で地震の水平力を減衰させることができる、継ぎ手や仕口の数が多いほど、水平力を減衰させる吸収力は大きくなる、これが木造建築は案外耐震的と言われるゆえんだ。

 継ぎ手・仕口が固く組み合わさったほうが、地震時の初期剛性は高くなることは経験的に分かっているので、ゆるみのない継ぎ手・仕口を作る工夫がいろいろなされてきた、だから建前の時など掛けやで接合部を打ち込みむのは、固くゆるみのない接合部が造られている証拠でもある、時ノ寿の駅も掛けやは引っ張り凧だった。