S邸増築工事竣工

passarella2007-04-07


 Sさんの増築工事が竣工した、この工事の一番の功労者は、Sさん自身だろう、Sさんが最初相談に訪れたとき、言葉の端々から、住まいづくりに、自分自身も参加してみたいという希望が、垣間見えたことをよく覚えている。

 大工さんからは、”S塗装店とか、S内装工事”などと呼ばれるほど積極的に参加していた、もちろん彼の資質によるところが大だと思うが、きっとできあがった住まいを大切にすることは想像に難くない。
 ここが大切なことで、印鑑と契約書で住まいができると思っている御仁が、住まいに愛着が持てるのだろうか。
 愛着は、関わる時間と試行錯誤の総和に比例すると思う、これは子育てで証明されている、愛着の希薄さが、住まいのメンテや修理をおろそかにする。
 
 何も、住まい手(施主)の姿勢のみを攻めるつもりはないが、今の住宅の造られ方は、ほとんどがカタログから選ばれることが多い。 
 住まい手自由な意志で建てたと思っているかもしれないが、実はカタログの中から選ばされているにすすぎない、住まい手の”好み”が反映されるだけと言ったら怒られるだろうか。
 ”好み”は時代により、気分により変わる、だから使い勝手が悪くなると、作り替える選択をする。
 
 愛着を育む住まいづくりは時間かかる、効率よく短期間でつくることが尊ばれるこの時代、いたずらに時間をかける住まいづくりを良しとするつもりはないが、”できれば、愛着を抱ける住まいづくりを!”とSさんの笑顔を見ながら思った。

 このテーブルは、Sさん発案し、僕がスケッチして、大工さんが制作したもの。
Sさん家族の暮らしを見守った差し鴨居(地の松)で作成。