美しい風景

passarella2007-06-04


 在来軸組構法は戦後の住宅技術の向上に大きな寄与をしていると言われる、しかし同時にそれは、伝統的木造民家に代表される、伝統的なものの排除という結果を引き起こしてもいる。
 伝統の技術と知恵を排除し、住まいを地域性や広い意味での生理的な全体像としてでなく、数値化できる部分を肥大化させ、顕在化させて来た。
 そんな、住宅の産業化が住まいを商品に変え、機械化や工事の細分化が住まいを自然から遠ざけて来た事実にも注目しなければならない。
 
  戦後日本は欧米に追いつけ追い越せ、続く高度成長期の時代を経て、僕らは自分の住宅を取得することがささやかで、しかし大きな生きる目的でもあったように思う、でも、住宅は20数年で資産価値がなくなり、30年も経つと古くさく、不便だという理由で簡単に壊され新たに建設されるということを繰り返してきた。
 スクラップ&ビルドという美意識はさすがに影を潜めたが、未だに、地球温暖化に繋がるようなエネルギーの消費の問題で、CO2排出の40%は住まいに関わる(製造、建設、運用、廃棄)部分だというデーターもあると聞く。

  伝統的民家は受注・生産・供給がローカルな施工方式をとってきた、いわゆる食の地産地消と同じく、身土不二の産物だった。
 地元の木、竹、土は身元もしれて安心して使用できる材料だった、よって建材にいるシックハウスもなければ資源の浪費もなかった。
 僕らと家族の豊かな生活の舞台として、あるいは豊かな社会のストックとして郷土を形成する住まいの建設が必要ではないか…ちょっと大げさかもしれないが、大沢の家はそんな想いもある。
 住まいをメーカー主導の商品化住宅から身土不二の産物に取り戻したとき、そこにこそ”美しい日本が”ある、そう思いませんか、総理!