建前の日

passarella2008-01-21

建物を建てる際の建築儀礼の中で、柱を立てることは、最も重要な儀礼の一つといえる。
 今日では、土台を引いて柱を立て、梁、棟木など家の骨格ができ上がると建前の儀式を執り行う。

 しかし本来は家の中心となる柱、すなわち棟持柱を建てて行った儀礼ではなかったかと上田篤氏は「空間の原型:筑摩書房」で述べている 上田氏に依れば、沖縄では、棟持ち柱の1本建てておけば後は、いつ建ててもいいという地域があるようだ、それを本来の建前を今日に伝える例としている その要の柱は、もちろん構造的にも重要な位置を占めていいたが、さらに住まいのシンボルとして、象徴的な意味を持ち始めるのにそんなに時間はかからなかったのではないか、家の象徴として。

 その象徴的な柱は他の柱より太く、樹種もけやき、ヒノキ、栗の木と多彩で、家屋の要となる柱に大黒神が祀られることから大黒柱と言われるようになったのではないかと上田氏は推察している。
 

 去年のことで恐縮だが、静岡市の赤目が谷の家は昨年建前を行った、クライアントのご主人は木材関係の仕事をしている、彼は住まいに足跡を残すべく、3本の6寸の柱と大黒柱、5間の棟木となる丸太を自らの手で伐採した。
 木を見る目も確かで、かなりの上物だ、加工場にも何回も脚を運び、カンナ掛けや墨付けに立ち会っているだけに、今日は万感の思いに(勝手に思っているが)駆られているに違いない。