建前その2

passarella2008-02-24

 住まいをつくる時、普段占いや迷信に惑わされない人でも、つい気になってしまうのが、家相と工事の地鎮祭と建前の日の吉凶だ。
 日本で一番広く行われている日の吉凶は6曜だろろう、大安・赤口・先勝・友引・先負・仏滅のそれだ、専門家筋(?)では6輝と言うらしい。
 創価大学の大森志郎先生によると、この6曜は割と新しく、江戸の末期、幕末は天保の時期から広く広まったようだ、いわば歴の新興勢力、庶民の間で広く支持されたようだが、その起源は明らかでないとのこと。
 さらにおもしろいことに、現在、広く広まっているこの6曜の日への配当もかなり機械的だ、旧暦各月の一日をそれぞれ、正月・7月を先勝、2月・8月は友引、3月・9月は先勝・4月・10月は仏滅、5月・11月は大安、6月・12月が赤口として、2日以降は6曜の順序に従って配置されるだけ、その他の特段の意味はない、吉凶の王様にしてこれでは、吉凶の占いも推して知るべしのはずだが、そうはいかないのが人情。

 例えば建前は、最も注意しなければならない、建前は当然の如く江戸時代より前から行われていたから、6曜では歯が立たない場合が多い。
よく使われるのが28宿だ、28宿は干支(10干と12支)と共に東洋の歴の柱となっている、でもあまりなじみがない、起源はインドにある。
 M邸の工務店の社長は、長年の経験から、建前の日は28宿から選ばなければならないと決めている、選んだのは12日の室(婚礼・祝い事・普請は吉)。
 建前は11日から始まり順調に進行、でも12日は午後から小雨模様で肌寒く、作業も慎重を期さざるを得ない、その上、2階はプレカトでなく手加工、特に小屋組は、野物を6本、登梁を計20本掛けなければならず、刻々として作業は進まない、それでも棟が上がり、暗くなりかかって登梁が掛かり、予定通り建前の神事を執り行うことができた。
 12日は初午、京都伏見稲荷大社の祭日、建前をある事情で当初予定よりのばして12日に決めた経緯があるだけに、これも何かの縁かも。