なぜ、スクラップ・アンド・ビルド

passarella2008-05-17

 
 建設産業は、全産業の資源利用量の約5割を建設資材として利用している。一方、建設工事に伴い排出される廃棄物(建設廃棄物)は全産業廃棄物の排出量の約2割を占め、最終処分量では約4割を占める。また、厚生省の調査によれば、不法投棄量の約9割が建設廃棄物とされている。…国土交通省リサイクルホームページ
 資源循環型社会の実現が強く求められている現状、資源のリユース・リサイクルへの取り組みは急務だろう。

 O邸では、既存を取り壊した上で新築することとなった、建設リサイクル法では、解体産廃再資源化を図るため分別を義務つけている。
 住宅はといえども、80m2以上の解体は、建設リサイクル法にのっとり、分別しなければならない。

 解体で排出量・最終処分量の大きな割合を占めているのが、コンクリート魂、木材、石膏ボード系と汚泥だ、このうちコンクリート魂はかなりリサイクルが進んでいる、破砕して再生砕石として路盤下地材や管工事での埋め戻し材など、再資源化し易い材料のひとつだ。

 コンクリート魂以外は今後の積極的な取り組みのルール作りが必要だと言われている、というのも、汚れていたり、原料としては不純物となる他の資材が混ざっていたりするため、建材の原料とすることは難しためだ。
 
 たとえば、廃石膏ボードについてはリサイクル体制や技術等が確立されていない、だから、処分は、一度中間処理施設と呼ばれる処分に運ばれ、さらに、選別・分別・焼却・破砕・圧縮等によって、最終処分量の削減が行われてから、コストのかかる管理型処分場に処理されことになる。
 
 それでは、でできうれば、既存ストックの再生が良いと考える僕が、O邸でなぜスクラップ・アンド・ビルドを選択したか、解体せずに改築やリフォーム、またはリファインという手法もあった、これだと解体による産廃は格段に少ない、環境負荷も低減できる、何より住人の記憶が切断されることもない、なのになぜスクラップ・アンド・ビルドか。
 
理由は地盤の悪さだった、地盤の悪さがスクラップ・アンド・ビルドを選択させた、現状既存擁壁も少し傾いている、このままでは擁壁がらみの不同沈下の心配もそれを後押しした。