菊川の住まい…新たな取り組み1

passarella2008-10-11


2世帯住居、コートを囲い向き合う、若夫婦の空間は、リビングとダイニングが暮らしの中心、特にダイニングは大版のソイルセラミックタイルで床を構成し、アイランドカウンターがある活動的だが大人っぽい雰囲気の空間となる予定だ。
住まいの中心部に位置する階段は、単なる上下の移動の空間でなく、朝・夕(光の変化)で変化が楽しめる空間となるよう上部のトップライトからの光で、階段に浮遊感が生じるよう工夫した。
どうなるか楽しみだ。
 一方”離れ”は日本の古来の技を生かすべく、伝統的構法で創る予定だ。
松井郁夫建築事務所が提唱し実践している、ワークショップ「き」組に習い、今の僕の経験と知識と情熱でカバーできる範囲で、伝統的構法に則った架構でつくりたいと思っている。 
 具体的には、折置組でつくる門型架構を1,5間から2間ピッチで建て、直行方向の桁とは梁に渡り腮で掛ける、さらに、梁の中間で中引きと呼んでいる(木造住宅{私家版}仕様書架構編:建築知識)大断面の引き物で組んでいく。
 現在のように、梁上端揃では、柱と桁あるいは梁は平ホゾ差し、桁と梁の仕口は意識のある大工で、大入れ蟻掛けだろう、しかし、見ていただければわかるが、蟻は頼りないので、どうしても金物で補強することが前提になってしまう。
 それに比べ、渡り腮で組んだ仕口は、梁、桁の仕口加工面で割裂を起こす心配はなく、木同士の接触面も大きいので、互いの拘束も強く、捻れにも威力を発揮するだろう。
 今回 一部、”せがい”で架構を作り軒をぐっと出した、うまくいけば(うまくいくはずだが)これから”せがい”でつくる架構を、2階のはねだしなどに応用(もうすでに各地で行われている、日本列島・伝統構法の旅:松井郁夫著)ができれば、設計の自由度がますことが期待できる。

 足下は土台に柱を立てるが、4隅の柱は、一段高い位置を足固めで縫って、柱がより自立するようにする、松井氏のワークショップ「き」組は、4隅でなくすべての柱に足固めで縫っているが、初めての経験で、すべての柱で足固めを入れて、建て前ができるか心配だし、足固めの効用(柱の引き抜き対策に効果あり)を考えれば、4隅でも十分では無いかと勝手に思い今回は4隅だけにした。
 金物(釘、かすがい以外)は一切使わない、唯一土台用のアンカーボルトと土台と足固めを緊結する等しボルトを使用している。
 よって、土台と柱、柱と横架材(梁、桁、胴差し)の仕口はホゾで込み栓(引き抜きの大きさにより1本あるいは2本)打ちで対応している。
 ちなみに、土台ヒノキ120角、柱スギ120角、長ホゾ差し込み栓(カシ)2本での短期基準強度は11.5knで告示第1460号の表三の(へ)に相当する。確認申請時にはこの試験成績表を添付した。