菊川の住まい…新たな取り組み2

passarella2008-10-13


 菊川の住まいは(離れ)は、架構を伝統構法で組むように計画している、となれば、もちろん壁も、木舞で土塗り壁でやる計画だ。


 貫併用の土壁の強度と剛性の高さは、最近、見直されているところで、建築基準法でも塗り厚70で倍率1.5倍の壁として認められている。
 問題は、貫と柱の仕口と、柱と貫を締め固めるクサビだ、貫は当然継ぎ手がない方が良い、でも、柱当たりは必ずできる、
ここを、今回設計では下げ鎌という仕口で指定した。 
前回(O邸)は仕口の加工をしていない、というのも、古来貫は建て前しながらセットするものだが、大工も不安があり、
貫を建て前の後セットすることとしたので、仕口の加工をしなかった、今回、それができるのだろうか、不安はある。 
 また、クサビも、ここがゆるむと耐力が期待できなくなる、ここの監理が重要になる。

 
 課題は、こうすると、どうしてもコストが上昇することが避けられないこと、そこで、CMという手法の考えを活用することで、
コストを押さえる工夫をした。 
 設備の分離発注はこれまでもやってきたことで、特に目新しさはないが、今回はさらに幾つかに分けた。
 特に木工事では、木材を僕が木拾いし、発注書を作りクライアントに直接購入してもらおうと計画している。


 最近思うに、木造の設計者は、木拾いができなくては、大手を振るって建築士と威張れない、これでは、まさに夜郎自大だ。
 というのも、木拾いするには、構造材では、樹種や品質はもちろん規格や仕口・継ぎ手の加工・デテール、間柱や胴縁、野縁など
がしっかり頭に入っていないといけない。
 造作材では、柱や化粧材の仕上げ程度や仕上げ面、建具廻りなどの枠のデテールをしっかりかかないと、引き立て寸法がわからないなど、
設計力が問われることになるからだ。
 そうなると、実際のところ今回は、特記仕様書や矩形図(8枚)、軸組図、伏せ図、詳細図など建築図(もちろん平面図や展開図も入れて)
だけで60枚を超えてしまった。
 さらに、図面の上だけでなく、実際の木もしっかり把握していないと、後でクレームが発生しかねない。
 この辺は、確かに工務店や大工さんのオンブに抱っこだった、反省。  


 これから現場が動く、足場の手配、基礎工事の職人とは鉄筋のこと、コンクリートの配合、アンカーボルトのセットのこと、
クライアントと一緒に山に木を見に行ったり、工務店と木の加工の打ち合わせ、左官とは木舞のや粗壁の人の手配など、
これまで以上にスケジュールてんこ盛りだ、おっと、仮設の便所や電気、水道の手配も忘れてはいけない、今後どうのように進むか、
特に離れは待ち遠しくもあり、不安でもある。