穴だらけの木の断面
写真はヒノキの横断面だが、穴だらけだということがよくわかる、穴の集積と言っても良いぐらいだ。
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樹木は根と幹と枝葉の3つの部位から出来ている、根は水を吸収し、葉は水と空気中の二酸化炭素から炭水化物(糖分)を合成する、いわゆる光合成を行いエネルギーをつくる、幹はco2を固定する。
水と糖分は幹の穴(導管)をエレベーター代わりにして、水を上に、糖分を下に運ぶ、樹木が活発に光合成を行うのは、外気温にして24℃〜26℃がぐらいの間、27℃以上になると、光合成は低下する、光合成は葉の気孔を通して行われるが、27℃以上になると気孔は閉じて水分の蒸発を防ぐと言われている。
1ton当たりの樹木に含まれる水の量は210kg程度といわれているが、しかし、樹木は蒸散を行っているので、光合成に必要な水の量の30倍の水を根っこからくみ上げ、葉っぱから出している。
1tonの杉をつくるのに12t〜16tの水を必要とする、年間の水量が多いとところに良い杉が算出する理由はここにある、杉の有数な産地である秋田、尾鷲、吉野そして天竜は年間の降水位量が多く3、000mmを超える。
こんな木を床材に使うと、足裏は大部分は木の穴に触れることになる、穴は空気だから熱の移動は小さく、だから冬でも冷たく感じない、特にじめじめした梅雨期はサラッとした感触で気持ちがいい。
このサラッとした感覚は、よく言われているように、木には調湿機能があるからだが、ではどの程度の調湿能力があるのだろうか、このことについてに知識は持ち合わせていないのでよくわからない。 でも、木の建築(2001年・52号:木材の環境性能)という雑誌に興味深いデーターが掲載されていた、調湿に寄与する木の厚さを計った:図1がそれだ、これは岡野健元東大教授の実験結果で、一日周期で温湿度が変化するとき、その環境下にある木の吸放湿は、表面から3mmの深さの範囲でしか吸放湿していない結果となったと報告されていた。
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最初、”エー”そんなモンなのという感想をもったが、1年周期で考えると表面から6cmの深さまで吸放湿するというということだから、木の調湿効果はかなり高いといえる。
しかし一方、4寸の柱は柱の中心まで含水率が変化することになり、収縮の影響も受ける。
静岡県では年間平衡含水率は5%ほどで上下するので、杉の4寸柱、木目の垂直方向で含水率1%当り0.09%収縮する、よって収縮量は5×0.09×1/100×120mm=0.54mm、繊維方向(柱の高さ方向)で0.1mm/1.0mとなる。
水曜日の次に木曜日が来るように、木と水は切っても切れない関係にある。