世帯を起こすから世帯を繋ぐ(2)

  
 
 さる11月28日に参議院で可決された[ http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案]」(前福田総理が提唱した、いわゆる200年住宅ビジョン)では、下記のビジョンを詠っている。
(1)住宅の建設・取得・維持管理のための国民負担の軽減。
(2)産業廃棄物、CO2の削減。
(3)わが国のゆがんだ国富構造の是正。

 (2)は昨今の環境下では妥当なビジョンだが(1)と(3)は”豊かさ”とは何かということに対する問いかけ、すなわち、経済と社会の発展→住宅投資→マイホームを取得して豊かな人生を送るといおう脅迫観念とも言えるステレオタイプの人生観への意義申し立てととりたい。

 「 問題は、各家計におけ資産ポートフォリオ分散投資)において、住宅ローンの負担が大きすぎること。」…”お金を銀行に預けるな 勝間和代 光文社新書”という指摘(ここで勝間氏は、住宅ローンに生命保険を加えると、それ以上の余裕資金が生まれないがために、他の金融商品への投資ができないという文脈で述べている)をまつまでのなく生涯生活資金に対する住宅の負担は確かに大きい、欧米の労働者と比べると、暮らしの豊かさは、なるほど低く感じ、住宅のために働いている感がないわけでもない。
統計によると、(3)の日本の国富に占める住宅資産の割合はわずか9.4%だという、これが脅迫観念の結果だとしたら、あまりにも貧しいではないか。


 (1)と(3)点についての言及は、住宅金融公庫が独立法人化して以来、借りての信用格差は広がり、所得の低い人や自営業者は厳しい環境に置かれているが、そんな若年層や低所得者、自営業者に対して、国が政策で大きなコストをかけ、ローンを組ませて、マイホームの取得を促す必要がなくなったといっているに等しい。
 これまで、国は、住宅投資は景気浮揚・経済効果が大きいとして、あおって来た訳だから責任は大きい。
 今回、政府は金融不況の対策として、住宅ローン減税を考えているようだが、地に足が着いた暮らしを営むためにも、大きなローン組み、住宅を取得することは、考え直した方が良いだろう。
  
 地に足が着いた暮らしを営むという視点で見れば、セミナーで提案したように、丈夫で長持ちする住まいにシフトせざるを得ないだろう、「丈夫で長持ちする住まいは、特に高い性能の住まいではなく、少し頑丈につくり、きちんと手入れして長持ちさせる」こと、そして、施工者サイドで見れば「(維持管理や増改築は)その場その場の判断、つまり本当の技術力が問われる」ことだと思う。