木造の接合部

 木造の接合部は、一般的には仕口・継ぎ手と呼ばれている、建物に限らないと思うが、その架構を構成する線材や面材が、一箇所の接合部も無いシームレスな構造を有することができれば、例えば、常温で粘性と塑性をいったり来たりする性質を持った素材があるとすれば、どんな建築ができるのだろうか。


 それはさておき、木造の構造特性は、大部分が架構を構成する木の特性に制約を受けるだろうことは想像に難くない。

 図は各種構造の耐力と変形量の関係をグラフ化したものだ、このグラフが木造の構造特性は「強度が低い反面、変形能力が高い」と評価される所以だ。

  出典:ヤマベの木構造 山辺豊彦 (株)エクスナレジ

 この変形能力の高い特性をよく「ねばる」と表現する…”しかし、木構造が「ねばる」ためには、木材の特徴をふまえた接合部を有することが必須条件となる。言い換えれば、接合部が木構造の特性を生かせない接合部にすると、「ねばり」のない構造体になってしまう。…” ヤマベの木構造山辺豊彦 (株)エクスナレジ

 つまり、木造の変形能力は接合部次第ということだ。




  写真は、その、木構造の特性を生かせない接合部、いわゆる禁じ手の接合部だ、最近、耐震診断の依頼が多く、耐震診断や補強計画をたてるに当たり、対象の住宅の調査をするが、写真は耐震診断を依頼された、あるお宅の小屋裏の調査したときに発見した接合部。
写真では継ぎ手を金物で補強?しているが、一方で、火打ち梁と補強金物のボルトが鎌の首部分を貫通している。