貫と楔

passarella2009-08-18


 日本の木造建築の架構は、竪穴式住居に見られるような掘っ建て柱式から始まり、3つの変革期を経て、現代の架構に洗練されてきた。


 鎌倉時代の僧・俊乗坊重源が中国は宋の建築技術に学び、東大寺南大門に試みた通し貫による架構は、耐震要素としての壁を用いない、当時としては、全く画期的な架構で、歴史的には、大仏用と呼ばれている。
 この架構は、柱に水平材である貫を通し、それを楔で締め付け、建物を堅固にする方法で、通し貫の耐震性への有効性は、その後広く認識され普及していくことになった、貫と土壁の住宅は、ほんの30年ほど前まではどこにもあった光景だ。


 通し貫による架構は、発生する応力的には、曲げ系架構に属する、この架構の弱点は断面欠損と局部のめり込み応力と言われているが、歴史の先建つ達の工夫を…手間かかる節点数の多さと、きめこまかな仕口の伝統木構法の粘り強さと美しさなど、様々なリズムを生み出す魅力の根元だ…と増田一眞氏:伝統木構造の会 会長は絶賛する。
  

 

 写真は1寸の貫と柱の間に打ち込まれたタモの楔の力強い耐力壁。