瑕疵担保と設計者

基礎は物事の元になり、ここをおろそかにしては何ごとも成り立たない、住宅に於いても同じで、基礎は需要な部位だ。
 基礎は建物の重さや地震力、風がもたらす圧力などを地盤に伝達したり、不同沈下による傾きを防ぐ役割を担っている。



 基礎は鉄筋とコンクリートで構成されるが、その形状や大きさは、地盤の堅さや建物の重さで決まる、一般的には構造計算で基礎の形状や鉄筋の量が決まるが、住宅のような小規模な建物の場合は、小規模建築物基礎設計指針や基礎配筋リストや耐圧版配筋リストを参考に設計する場合が多い。
べた基礎の場合の耐圧版での配筋リストによる鉄筋の配筋は、住宅の階数、建物の重い軽い、耐圧版の大きさから選択することになる。
  例えば、2階建ての場合

 ■重い建物・耐圧版面積が3,600×3,600の場合
          →異形鉄筋のD-13(mm)を150mm間隔で配筋する。  
■軽い建物・耐圧版面積が3,600×3,600の場合
          →異形鉄筋のD-13(mm)を200ピッチ間隔で配筋する。

となる、重い建物・軽い建物は設計者の判断に任されていた。



 昨年の10月以降瑕疵担保履行法が施工され、その中で、この重い建物・軽い建物の判定が瑕疵担保保険会社の設計基準で示され、それに準じた設計を要求されるようになった。(もちろん構造計算をする場合は計算により決定する。) 
重い軽いは、住宅の屋根と外壁の材料で決まる、例えばこうだ。

 ■ 屋根瓦で外壁がモルタル下地を伴う左官工事の場合→重い建物
 ■屋根が金属板で外壁がサイデイング等の材料の場合→軽い建物
とわずか2種類に分類される、個別性を持たせると専門的な判断を要求され、ぶれが出て責任を追い切れないと言うことだろう、嫌なら計算で示せと言うことだ。


 端から見れば、設計者が構造計算で基礎を設計することは、至極当然ことのように思えるだろうが、これがなかなか難しい、構造計算は自信がないとか、国がそこまで必要ないと言っているから良いじゃないかとか、それに見合う設計料をいただければ考えるとか言い訳はあるが、要は構造計算は今更出来ないし(構造設計を専門にやっている設計者は別で、耐震偽装事件以来、建築の専門性を重要視して現在構造一級建築士という資格が出来た)、自信がないが本音だろう。



 長々書いたが、僕は設計する際、2階建の場合、一階部分は左官で仕上げ、2階部分はメンテナンスを考慮して金属系の板で仕上げることが多いが、H邸の場合も同じで、瑕疵担保保険の契約審査で重い建物に判定された。

 結局、3条申請(建物の荷重合計を計算し、軽い建物の判定を得た)で設計に近い配筋に収まったが、今後は基礎の設計は計算で行う方向で考え無いと過剰設計になるかもしれない危うさを感じた。