エコポイント対象住宅の性能

 今回エコポイント対象住宅となったH邸は、基本設計の段階での断熱材は、杉の樹脂とパルプを原料とする断熱材を採用していた、が、コスト的に実現困難だったため、実施設計の段階でグラスウールに変更していた、住宅のエコポイント制の導入が話題となったのは実施設計もほぼ終了した時点だった。 
 
 その後、エコポイントの詳細が発表され、平行して提出された見積額を見なら設計の断熱仕様で仕様で計算すると、表のように指標をオーバーしてしまった、ここから、断熱材の選定と厚さ、敷き込みの部位、サッシやガラスの検討を行い、熱損失係数2.68、日射取得係数0.05を得ることが出来き、次世代省エネルギー基準・等級4に適合した。

 資源循環型の素材をベースとした断熱材でも、0.004W/m2Kぐらいの熱伝導率のものであれば等級4のクリアーは可能かもしれない。

 一般的な断熱仕様と、エコポイント取得仕様で比べてみた、エコポイント取得仕様の住まいでは、冬期の灯油消費量で319L、CO2で3.6kg/m2削減できる計算になる、319Lは18Lタンク17.7本分の差になる。

 CO2では、住まい全体で冬期、415.8kgの削減できる、これは50年生の杉の木30本分に相当し、森林面積では約900m2になる。

 今回、高機能サッシやガラスは使用していない、静岡県はほとんどの地域が第4地域(次世代省エネルギー基準の年間暖冷房負荷の区分)だ、この地域(一般的に温暖地と呼ばれる)は南面のダイレクトゲインによる熱取得を考慮した時、Low-ガラス(特に遮熱型)などの高機能ガラスを使うより、普通のペアガラス方が効果的だ。

 合わせて、軒や庇を大きくだして、夏場の日射遮蔽を行いながら、雨などから躯体(外壁など)を守り長持ちさせる、また、軒や庇は建物に深い影がつくりだし、住まいに豊かな表情を与える、町並みの景観を守るという意味でも、軒や庇は住まいに快適性と省エネ性をもたらす。


 いたずらに高機能のサッシやガラスを使う必要がないという意味でも、軒や庇は費用対効果の高い部位と言え、これらの点をエコポイントの取得に際し加味するようにすれば、経済的な効果が、ハウスメーカーや建材のメーカーに偏らずに市井の工務店・大工にも行き渡るのではないか。

 次回はエコポイントと土について