エコポイントと土壁

 省エネに基本は運用時だけでなく、建設から廃棄まで含めたトータルなものだろうから、
住まいがどのような材料で作られるかということも重要な要素と考えねばならない、いくら断熱性能が優れているからと言って、製造エネルギーや廃棄のコストを抜きに選択しては、本末転倒だろう。

  
 最近の建材は、エコを意識して自然系をうたっている材料が多い、なるほど溢れるほどの豊富な建材が咲き誇っている、でもチョット待ってと思う、職人さん達もきっと何か違和感を感じているのではないか、それは十分な”手応えのなさ”という違和感ではなかと思う、建築を組み立てるに際しての手応え、”もの”の存在感と言っていいかも知れない

 手応えのある材料と言えば、無垢の木、石、土などの本当の自然素材に行き当たる、しかしこれらの材料を使いこなす側も覚悟がいる、生半可な腕では使いこなせない、長い修練が必要になる、それだけに手応えは伝わってくる。


 日本では忌み嫌われているシロアリは実は自然界におけるもっとも優れた建建築家であり施工者であるらしい、アフリカに生息するシリアリの巣は、高層の岩山風の形をしている、彼らの巣は土でつくられる、土を唾液を混ぜて、あるいは消化液を接着剤代わりにして一種のモルタルにして固める、そうして出来た巣は極めて頑強だと聞く。
出典:いきものの建築学・長谷川 堯:平凡社

 シロアリに限らず土を原料として住まいをつくる生物は多い、地球上でもっとも入手しやすい建築材料であり、建築の基本的な材料としても優れていると言うことだろう。



建築材料としては耐火性、遮音性、断熱性、調湿性など、現在の建材ではとてももたらさない複合の性質を持っている、こんな超優良な材料が、近代のテーゼ(効率性、品質にバラツキを嫌う)に従い、仕上がりにバラツキがあり、水を使うため乾燥時間が長く必然的に工事期間が長くなる左官工事は冷遇されてきた。

 次回は”エコポイントと土壁”その2