”エコポイントと土壁”その2

passarella2010-04-19



 土は耐火性、遮音性、断熱性、調湿性など現在の建材ではとてももたらさない複合の性質を持っているが、一方施工の効率性や仕上がりにバラツキを伴い、メンテナンスフリーや、短期間できあがる住まいをありがたがる住まい手には不評だ。 


 しかし、今一度土に注目したい
 バラツキや均一でない壁の表情こそ豊かだと気づき始めた住まい手や、建材偏重の住まいこそ魔法瓶ではないかと考え始めた住まい手歩ぽつぽつ現れ始めた。

 土の壁は、材料の特性を熟知した左官職人の”拭く”、”擦る”、”押さえる”、”叩く”という作業をへて、命を与えられる、その自由さと融通無碍さは驚くほどの豊かさを我々に与え、見る見る僕らを惹きつける、彼らの丹精の成果だ。


 ところで、意外に感ずるが土壁の断熱性能は低い、例えば、木と比べても5倍、住宅用Gの10KGの約10倍熱を伝えやすい、一方で蓄熱容量は、木の2倍、住宅用GW10KGの約80倍だ、蓄熱容量とは単位質量の物質の温度を1度あげるに必要な熱量のことだから、熱容量が大きいほど熱しにくくさめにくいことになる。

 エコポイント趣旨は、暮らしの中でのエネルギーの消費を押さえること、例えば第四の地域では年間の暖冷房負荷の目標を460MJ(メガジュール)以下としている、それを達成する為の住まいの性能をクリアーすることが求められる、具体的には熱損失と日射取得をある係数以下にすることが定められた条件だ。

 エコポイントを取得する近道は高性能の断熱材やサッシを使えば獲得(申請は面倒だが)できる、でもその住まいは硬質で少し息苦しさを感じる温熱環境になってしまうような気がしてならない、生産、建設、運用、廃棄と言うライフサイクルを考慮すれば、押さえなければならない基本は、住まいがどのような材料で作られるかということであろう、製造エネルギーや廃棄のコストを抜きにした選択はあり得ないのではないかと思う。

 話が拡散してしまった、言いたいことは、資源循環材料のキングである土や無垢の木の使用量もエコポイントの対象であってしかるべきだと言うことだ、もちろん土や無垢の気を遣うからエネルギーを垂れ流していいと言うことではない。

 土の弱点を補完しながら、省エネと快適な温熱環境を確保する手だてや、シュミレーションについては次回。