時ノ寿の森クラブ、NPO法人になる

 
去る4月25日に時ノ寿の森クラブのNPO法人設立記念として、市民フォーラムを開催した、記念講演の講師には宮城県気仙沼の漁師である畠山重篤氏を招き、「森と海をつなぐ」をテーマに講演していただいた。

 気仙沼は、畠山氏が子供の頃はまだまだ海の幸で豊かだった、その後カキ養殖漁師として海に糧を求めていたが、ある時赤潮の被害を受けた、それをきっかけに、海の健全さは山の健全さがあって初めて成り立つことを感じ取り、県境を越えて山の植林活動と、川への負荷の低減を流域に暮らす人たちに訴えに続け、そんな20数年の活動が実を結び、今では植樹祭には千人越す人々が、各地からやってくるまでになった。…と講演された。

 講演は非常に有意義な時間を僕らに与えてくれた、書き出せば限りがないが、その中で僕がもっとも関心を引いたの言葉のもつ力のこと。
 気仙沼の名もない漁師の小さな叫びが、人々を振り向かせ、関心を誘い、勇気づけ、長年にわたる活動の礎をもたらしたものは何だったのか、……崇高な理念や理想ではなく、もちろん資金でもない。
 それは”森は海の恋人”というキャッチフレーズだった、”森は海の恋人”は人々の心をとらえ、鳴門海峡の渦のように、人々を巻き込んでいった。


 言葉がもつ力、我々の胸にグサッと突き刺し、はなさない、”森は海の恋人”は悩みに悩み、親族を介し、詩人に託した期待が、言霊すなわち霊力という意志を持った瞬間だったのかもしれない、そのくらい感動的だったと畠山氏。
言霊とは、言語そのものに吉・凶をもたらす神秘的な霊力があるという信仰、たとえば神官の祝詞はまさに言霊の霊力に期待した行為といえる。
 神事には幾度となく参加したが、ほとんどまじめに聞いたことはなかった、祝詞は言霊の霊力で、荒ぶる神々を鎮めているということになる、次回からじっくり聞いてみようと思う。
 
 時ノ寿の森クラブもこの4月にNPO法人として認証された、松浦理事長のいうように、社会的責任は単なる任意団体と比べると格段い重くなるだろう、といっても肩肘張ることなく、これまでどうり、自然体で活動したい。

 社会的意義や理念を大上段に振りかざしても、関心のない人には馬に念仏、ぬかに釘、時ノ寿の森の理念を世に広める要諦は、楽しい活動で心身を解放してからのワンメッセージと言霊の乗り移ったキャッチフレーズだ。