祈りを捧げた特別の場所

記紀の編纂により、天照大御神を頂点とするヒエラルキーに整理される前から、日本の(日本という枠組みさえ意識されない時代)各地で、多くに人たちが何かを感じて集まり、祈りを捧げた場所が存在していた、そんな特別の場所を訪れた。

 ここは、奈良法隆寺からほど近い生駒山の麓、平群という場所、その特別の場所は平群石床神社。
 平群石床神社のご神体は巨岩で拝殿や社殿はなく、人工的な要素は木の鳥居と石段だけだ、こんもりした杜は遠目にも何かありそうなそんな感覚を抱かせる。


 近ずくにつれ、ご神体の大きな岩が鎮座していることがわかる、石段を登り鳥居をくぐり、ご神体の岩を見ると、岩はヨコに裂け目を持っている、この裂け目がさらにこの岩の価値・信仰を高めているらしい、多産の神として信仰をより深めたとある。

 多産云々は、後からとってつけた縁起で、古来人々はこの岩に何か特別な力を感じ、集い祈ったのだろう。

 
ところで、ここ平群石床神社は古殿地、大正年間に何かの理由でここから300mほど南に移された、この古殿地は、人為的な呪縛を解かれ元の聖域に戻りつつある。

 ここは、俗世間と聖地の結界が近すぎ、気持ちを整理する暇もなく、ご神体の磐座と対面する事となり少し面食らってしまう。