原子力発電と暮らし

タイタニックを沈めたのは、船を急がした船長か、見張りを怠った船員か、船を設計した設計士か…答えは設計士。乗組員がどれほどがんばろうと、船は設計以上の能力を出さない。初期設定が大事。
 そう考えると、大津波を想定していない原発に大津波が来た時点で、破損する確率はかなり高かったといえる。」
                     池田信夫blog:バイアスに迎合するマーケテイングのコメント欄より抜粋。

 僕は掛川市に住まいを構えている、浜岡原子力発電所から19.5kmの位置にある、3.11福島第一以来、浜岡が注目を集めている。
 タイタニックのように、浜岡の発電所の職員が優秀でも設計時の初期設定を超える外力を受けたら、建物は何らかの損傷を受けるだろう、その損傷の程度がどの程度かが関心事であるが。

 
 元々、浜岡原子力発電所の立地に付いては危険性が指摘されていた、その上1・2号機(現在廃炉)はその使用済み核燃料保管庫であるプールの位置から、原子炉建屋そのものが、想定される地震地震は共振する構造的脆弱性を有していた、その後の3・4号機も同じ構造だから、耐震性の強化があったにせよ、内包する構造的脆弱性は変わらずあるのだろうと考えるのが妥当だ。
 5号機の耐震性の脆さは、一昨年の8月に発生した地震で明らかになっている。

 さて、今浜岡の原子炉を一時止めろと言う意見が、あちこちから出てきている、その可能性はいくつかのファクターが握っている。
 
 経済・雇用、日本の科学技術の発展の観点、リスクと便益、代替エネルギー、身近では生活レベルのことまで広範囲のファクターがありどう結論づけるか悩ましいが、東海・東南海・南海地震の連動が叫ばれている今、止めるべきだと思う。


 
毎日新聞世論調査
原子力発電に頼っている日本のエネルギー政策をどう思いますか。
  やむを得ない 40%(男性52%、女性32%)
  原発は減らすべきだ 41%(男性33%、女性46%)
  原発は全て廃止すべきだ 13%(男性12%、女性14%)
  
と否定派の方が多いが、一方の肯定派の意見の多くが、生活でのエネルギーレベル維持に不安を感じているようだ。

 ”今の生活・暮らしの利便性を享受できないのではないか” という危惧に対する答えを、いまだ 誰も用意していない。
  そこで、設計者としては、エネルギー消費と生活レベルについて検討し、「止める」さいの、この点の不安を解消できたらと思う、今、原子力発電をやめたら、我々の生活はどの時点までさかのぼるのかを、住まいの消費エネルギーの観点から考えたみたい。



 結論は、そんなに昔まで逆のぼらない20世紀後半の生活レベル(エネルギー消費量)という試算ができると聞く。
 そこで次回、設計者として設計する住宅のエネルギー消費をどう計画しているか、住まいのエネルギー性能から論を進めたい。