“次世代基準”は“時代遅れ基準”か?

 ケンプラッツの10月20日に南雄三氏の懸念(4)の記事が掲載された。
 最も新しい国の基準としての省エネ次世代基準が“次世代基準”どころか“時代遅れ基準”だと揶揄(やゆ)されることもある。”
 と述べて、世界(特に省エネ先進国ドイツ)に比べ、次世代基準の制度設計のお粗末さを嘆いていた。

 
 確か熱損失係数(Q値)の値については議論があるだろう、国もさらに高い数値を考えているようだ。
 でも特に?・?地域では、Q値を高めると、夏場のピークに室内がオーバーヒートをおこす可能性がある、日本の気候風土を考慮しなかったり、日射遮蔽を夏至を基準に考えるトンチンカンな設計では冷房のエネルギー消費が増えそうだ。
 ここでは自然風の流れの確保や室内の素材も平行して検討しないといけないだろう。

 
 南さんの指摘で”ナルホド!”と思うのは、
 ”エネネルギーの捉え方という視野の広さでも日本の省エネ基準は“時代遅れ”といわれてしかたない。” と述べている点だ。
 日本の省エネルギーの基準では、暖冷房だけを対象としているが、エネルギーという観点からみれば、冷暖房だけでなく、換気、給湯、照明、調理まで含めたエネルギーで勝負すべきだろう。


  グラフは2008年標準的な4人家族、1年間の一次エネルギー消費量の割合を示したグラフ、冷暖房の割合は18.9%で2割にも満たない、給湯、家電は冷暖房の合計より多い。
 

省エ法では一次エネルギーの削減を目的にしている、であれば、我々設計者は、「オール電化・深夜電力を利用してエコ節電しようとか、家庭に優しい」などというキャッチフレーズに惑わされることなく、冷暖房は言うに及ばず、換気、給湯、照明、調理、できれば家電まで捉えた、視野の広さを持った省エネ設計をすべきだろう。