TPP・農業は林業のように関税ゼロにされてズタズタに?

日曜日の朝日TV、TPPに関する討論で”かつて林業は、安い外材に押され、国内生産量が落ち込み疲弊した…”と某経済評論家と某民主党議員、”だから農業も林業の轍を踏むなと。”


 林業を引き合いに出し、”関税ゼロで輸入される安い外材に押されて、国産材が売れなくなった”はミスリードといえる。
 確かに外材の方が安い時も一時期あったようだが、今日の林業界取り巻く厳しい環境は外材のせいではなく、林業界の体質によるところが大きい。
 戦後、住宅事情から木材需要が高まる中、林業界は残念ながら、満足な品質(乾燥、寸法、仕上げ)と量を提供できなかった、そのため、徐々に高い外材(適正なと言ってもいい)にシェアを奪われていった、驚くことに、乾燥が木材の強度に影響を及ぼすことさえ理解していなかったとも言われる。

  
 だからTPの本質が解らなくなる、関税の撤廃だけに目を奪われてはいけない、食品・医療・金融・労働・調達などの障壁の撤廃が主戦場だ、医療で言えば国民皆保険、地域医療は崩壊するかも、僕の分野で言えば政府調達、小規模公共施設の森林資源活用・木造化も風前の灯火?
 農水省や農協の利権にメスを入れる良い機会だと思うが、このまま拙速に進めることは将来に禍根を残す、しかしどうやら1994年(ボゴール宣言)以来問題を先送りしてきたツケを払わされていることも確かなようだ。