住処(スミカ)と御在処(ミアラカ)


「時ノ寿 Standard 木組の家」は二つのプロトタイプを用意した、住処(スミカ)と御在処(ミアラカ)だ。
住処(スミカ)は30坪タイプで田の字型プラン、御在処(ミアラカ)は40坪タイプ、どちらも恒久的な上屋と家族構成で変化しやすい水回りを納めた下屋で構成するベーシックな民家型プラン。 

■住処(スミカ)30坪タイプ

 「住」という字は古くは「逗」と書いた、その意味は「物事のとどまって動かない様」『漢字語源字典』を示し、「処」は場所の意味でそれらを揃えて住処となる。

 スミという言葉は「住み」と言うことの他に「澄み」という意味もある、例えば記紀には”八俣の大蛇を退治して櫛名田姫を得た須佐之男命は、須賀の地に至ったとき、「ここに来て我が心はスガスガしくなった」と言って、そこに住まいを造ることにした。”という逸話が残されているが、この逸話に限らず、”スガスガしい場所”であることが住居の備えるべき条件として語られる。
スガは住処(スガ)と共に澄処(スガ)であった。

 ”つまり、スムという行為は、たんにトドマル、あるいは居住するという物理的な行為以上に、地域の構造、風土、社会などと関連した文化というものが存在する”『上田篤:空間の原型 筑摩書房
 
■御在処(ミアラカ) 40坪タイプ

 古事記の出雲の国譲りで大国主神は”…出雲国の多芸志の小浜に、天の御舎(ミアラカ)を造りて…”ここではミアラカは宮殿のことを指すと言う。
 一方日本書紀ではミアラカのことを「天日隅宮」とある、日(ヒ)は霊、隅は住みの意味で霊が住む宮の意味だ。
少しオドロドドロしい感じがするが、ここで言いたいのは、ミアラカと社会的風土との関わりだ、前の住処(スミカ)で述べたように住まいはその地域、風土、社会から離れて存在しえない。
 霊が住むという意味を強引に関連づけるとすれば、「時ノ寿 Standard 木組の家」の住まいでは、土間が暮らしの中心を占める提案をしているが、この土間は三和土で仕上げる、三和土は地元の赤土、砂利、石灰に苦塩を混ぜ合わせ叩くが、苦塩は土を叩き固める共に、住まいを祓い清める意味がある。

 未だ手が届きませんが、大工と左官でつくる住まいを目指している。

「時ノ寿 Standard 木組の家」の標準仕様


長期優良住宅にも対応できます。