エネルギーの地産地消の可能性(1) 薪ボイラー

地産地消と言えば“食“に思い当たるが、住の地産地消はエネルギーだろう。
住宅でのエネルギーの地産地消は、まず手始めにエネルギー源(エネルギーの種類)を分散しなければならない、また地産地消ではエネルギーを熱で取り出すのが手っ取り早やく、取り組みやすい。

住宅のエネルギー消費量の割合をみると一次エネルギー換算で家電が約34%、給湯23%、暖房13%で以下照明、冷房、換気、調理の順だ。
給湯と暖房は熱エネルギーを使うので、取り組みやすく、取り組みやすいと言うことは分散しやすいエネルギー源といえる。

これまで、暖房には薪ストーブ、給湯には太陽熱利用給湯システムがその代表格だったが、更なるエネルギーの地産地省、資源循環という点で薪ボイラーには常に関心があった。

 今回、愛知県、岐阜県で視察した薪ストーブは、熱交換の考えを逆転させた優れもので、熱交換用の温水を薪を燃焼させて作り、その高温水に給湯用、床暖房用の熱媒管を通す方法を採用している、日本酒好きには堪えられない熱燗を作る方法とまったく同じ。 
 この薪ボイラーの設計思想はシステムや構造を単純にすること、開発者が何度も言っていたが、システムや構造が単純だから理解でき安心感を生む。

また、エネルギーのカスケード(多段階)利用を組み込んでいる点も注目。
本来のエネルギーのカスケード利用とは厳密に言えば違うかもしれないが、低位(低温)のエネルギーは床暖房に使い、高位(高温)は給湯に使う。
 
 熱交換用の温水は、夜寝る前に1,2本の薪を投入すれば朝方でもなお50度前後の温度を保っている、これにより、床暖房の供給範囲にもよるが、朝から快適な温熱環境を確保できそうだ。
一般的に給湯と調理は同じエネルギーを使うが、この場合給湯は薪ボイラー、調理はガスないし電気となる、このことは利便性やメンテ、コストの点でマイナスと捉えがちなので、この点を払拭する提案が普及の鍵となるだろう。