2009-01-01から1年間の記事一覧

土は古くさい建築材料か?

住宅に使う材料として”土は古くさい !”と思っている人は、多いのではないか。 近代の住宅の生産現場では、「均質に・効率よく・大量に・短時間に」がテーゼと言って過言ではない、そこでは人間の熟達した技術をあまり必要としない世界であり、自然の素材か…

祇園信仰

祇園信仰とは、仏教の聖地祇園精舎の守り神である牛頭天王に対する信仰と言われている、元々はインドの土着神で、釈迦と出会い仏教に帰依し、疫病を鎮める神になったと言い伝えられている。 森の山名神社も今でこそ山名神社と呼ぶが、神社の縁起によると、別…

狐・みさき

“俺も、一回、狐にだまされたことがある。“と哲治さん(時ノ寿の炭焼き名人) は真顔で、記憶を手繰りよせながら言った。 にわかには信じられない話で、“夢を見たということ?”と聴きなおすと“違う、本当だ!” “昔(といっても昭和の初め)はよくだまされた…

「サルと人と森」

今を予知していた石川啄木、そんな思いを強くする絵本が出版された。「サルと人と森」と題する絵本は、石川啄木のエッセイ「一握りの砂」の中に収められている「林中の譚」を今の言葉で優しく置き換えた絵本。 今から102年前、啄木は、今の混濁する地球を予…

木炭と竹炭

床下に、調湿と消臭を兼ねて、木炭と竹炭を敷き並べてみた、炭のこれらの効用は、炭の表面積と炭化温度、炭の原料で決まるようだ。 炭の原料は大まかにいて、針葉樹、広葉樹と竹が考えられるが、今回は、広葉樹と竹の炭を敷いてみた。 炭の原料もある程度性…

建具と換骨奪胎

一年ぶりにK邸を訪れた、竣工した時から幾多の風雨を経て「渋い」が似合う様相で、”これで新築”と隣人に言わせしめたK邸。 土龍色(もぐら色)の塗り壁、客人を迎入れるアプローチは、褐色に塗られたスギ板の羽目板、 さらに玄関から内部に足を踏み入れると、黒…

もっと学習しよう。

先のブログの続き…… 先のMホームのクライアントは、しっかり現場をみた方が良いだろう。 というのも、新築現場は造成地、まだ造成工事が終了していない段階で、工事に着手しているから。 推測するに、時期が3月だけに、メーカ-の決算上、あるいは営業所の工…

シャドーワークの破綻?

シャドーワークの破綻とは、ウイーン生まれの思想家イワン・イリイチが使った言葉で、例えば…建築工事で考えると、仕上げと(クロスや塗装)とその下地工事(ボード張りなど)は別の職種となるが、仕上げの出来映えは、仕上げの職人の腕だけでなく、実は下地…

塗壁・土壁

スペインのアルタミラ洞窟の壁画は、今のところ塗り壁の最古の壁と言われている、この壁画に使われた絵の具は、代赭(弁柄)と黒が主で、土の粉らしい。 エジプトのピラミッドは、今なお、漆喰の壁が保存されている、TVで吉村作治先生が案内役で紹介していた…

荒壁

荒壁塗りの初日、2名の女性が応援に駆けつけてくれた、20代と30代で一人は設計事務所に勤務、彼女曰く「日頃は、ほとんどS造とRC造で、木造の設計経験が無く、小舞荒壁の体験に興味があり参加した。」 彼女に限らず、小舞と荒壁で仕上げる住まいは、最近…

竹小舞を家族で編む

やっと竹小舞の作業が始まった、と言うのも大工の刻みの段階で、間渡し用の孔を明けていなかったので、建て前の後にあける羽目になったからだ。 孔明けといえども4方を明けるとなると、結構骨の折れる作業で、特に梁や桁の孔あけは、仰向けでの作業となり、…

リスクコントロールとヘッジ

”リスクって何だろう”今、話題の勝間和代氏の著書・「お金は銀行に預けるな」にリスクに関する興味深い解説があった、 …リスクというのは、あくまでも計量可能で、コントロール可能なものを指します。逆に自分自身で計量できなかったり、コントロール出来な…

薄氷?

文明は豊かな森林がインキュベーターとなり、育む、しかし森林の荒廃は強烈なしっぺ返しを伴い、森林資源の枯渇は文明の衰退を促す、と解き明かしたのは環境考古学者である安田喜憲氏。 古代インデア文明しかり、メソポタミア文明しかり、イースター島しかり…

制度

村上春樹氏がエルサレム賞の受賞に際して、エルサレムで行われたスピーチが話題を呼んでいる、エルサレム賞とは、イスラエルが個人の自由や尊厳などのテーマに取り組んでいる優れた作家に贈る賞のこと。 壁と卵の比喩は文学的で、僕にはその意味するところが…

「おもしろきこともなき世を(に)おもしろく…」

「おもしろきこともなき世を(に)おもしろく…」 とは、かの奇人と呼ばれた高杉晋作の辞世の句だ。 僕ら凡人には、この世は思いどうりにならないことばかり、でも見方を変えれば、苦痛に感じることも、面白く思える、自分の思い通りに行かないに唯々諾々と従…

小舞竹と縄と

小舞竹と縄が現場に搬入された、あちこち探し回ったが、掛川市・菊川市では見つからず、やっと磐田市の竹材店を見つけ購入した。 時ノ寿の小舞竹は地元の竹(真竹)、この時は人海戦術で、伐採から竹割り、節取りまで可能だったが、今回はそんな方法がとれず…

床下だから分からない?

基礎は、住まいの構造的安全性を考える上で、重要な部位だ、木造の架構がいくら頑強でも基礎がいい加減だと、住まいの安全性は保障できない。 上部構造部である柱や耐力壁から伝わってくる荷重や、地震・風よって生じる力を支持し、地盤に伝える役目を負って…

マクロな視点とリアルな現実

年末年始に、派遣村が注目を浴びた、企業の調整弁としての非正規社員の実体は、前から報道されていたが、アメリカ発の金融危機以来の経済の落ち込みが、日本の経済のエンジンである自動車産業をも直撃した結果、これまで自己責任と突き放していた世論も、ひ…

見学会と体験会のお知らせ

西方の家は”歴史的に培われてきた木の使い方”に学んだ住まい、先人の知恵が詰まった架構形式を味わった見ませんか。 架構は、折置組で橋と軒桁で納め、小屋梁は桁に渡り腮で掛け、梁と直交方向に中引きを引き渡し、井桁状に組む、柱は土台に通しほぞとして、…

歴史的に培われてきた木の使い方に学ぶ・その1

元日に山に神から、”歴史的に培われてきた木の使い方に学ぶ”と託宣を得た(勝手な思いこみ)。 山の神に”伝統的構法に学び、丈夫で長持ちする住まいづくりに取り組む”と祈った処、昨夜”歴史的に培われてきた木の使い方に学べ”と託宣をえた。 伝統的構法と言…

山の神に祈る

明けましておめでとうございます。 今年の元日は、時ノ寿の森での薪割りと、山の神が祀られる社への参拝で新年を明けた。 山の神が祀られる祠は、時の寿をさらに奧に分け入り、見るからに神聖な感じのする場所にあった。 大沢部落の守り神である氏神神社の脇…